食べてすぐの歯磨きは歯に悪いってほんとうですか?歯磨きは食後すぐ? 30分後? どちらがよいの?

私が子供のころ、両親からご飯を食べたらすぐに歯磨きするようにと言われていました。

歯磨きは、虫歯になるのが嫌で、面倒くさい…と思いながらも両親に言われるままに、食後すぐに歯磨きをすることを習慣にしていました。

覚えていますか?「1日3回、3分間、食後3分以内に歯を磨こう」という「3・3・3運動」。そうそう、やってました!

ところが、最近では、歯磨きの新常識として「食後すぐに歯磨きすると、歯の表面が傷ついてしまうため、しばらく時間をおいてから磨いた方が良い」というニュースが出回るようになっています。

お子様のために歯磨きの方法をインターネットで検索したことがあるお母様は、この情報を見たことがある人も多いと思います。

それでは、この「食後すぐの歯磨きはNG!」という話は、本当のことなのでしょうか?それとも信憑性のない話なのでしょうか?
今回は、歯の健康を守るためには、とても大切になる歯磨きについて、歯医者さんが教える正しい基礎知識をご紹介していきます。

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「食後すぐの歯磨きはNG!」はホント?歯磨きのタイミングについて

それでは最初に、歯磨きをするベストなタイミングについてご紹介します。冒頭でもご紹介したように、「食後すぐに歯磨きすると歯の表面が傷つく!」という話は、インターネットなどでもよく目にするようになってきています。

テレビ番組の中でも同様の内容が放送されています。このような情報を見てしまうと、誰でも「歯磨きはしばらく時間を置いた方が良い!」と思ってしまいます。しかし実際には、全ての人に対してあてはまることではなく、昔から言われているように、食後できるだけ早く歯磨きしたほうが良い人もいるのです。

ちなみ、食後すぐの歯磨きについての情報が出回るようになってから、公益社団法人日本小児歯科学会より以下のような注意喚起がなされています。

最近になって、食後すぐに歯をみがくと、あたかも歯が溶けてしまうというような報道が新聞やテレビで伝えられたため、現場がやや混乱しているようです。
これらの報道のもととなったのは、実験的に酸性炭酸飲料に歯の象牙質の試験片を90秒間浸した後、口の中にもどしてその後の歯みがき開始時間の違いによる酸の浸透を調べた論文で、むし歯とは異なる「酸蝕症」の実験による見解なのです。(中略)
結論としては、通常の食事の時は早めに歯みがきをして歯垢とその中の細菌を取り除いて脱灰を防ぐことの方が重要です。
引用:公益社団法人日本小児歯科学会サイトより

歯磨きよりも大切なことがある

刺激的なタイトルの書籍も出版されています、お口ケアへの関心が高まっていることがあり、著者の森昭先生(京都府舞鶴市の歯科クリニックの院長)が書かれた「歯はみがいてはいけない」は出版以来、増刷を重ねる反響を呼んでいます。

「歯磨きは、歯ブラシに歯磨き剤をつけてゴシゴシやるのが一般的ですよね。それが歯磨きだと考えるのは間違いです」という思いが、タイトルにこもっている。今作は前作で紹介した考え方のハウツーをまとめたものだ。

 森昭さんは対談でこんなお話をされています。

「歯磨きは何のためにするのか。」

「食べカスを取るため」の歯磨きと答えたら、

それは「間違い」です。森先生によると、口の中の細菌の塊であるプラーク(歯垢=しこう)を除去するためというのが正解とのこと。

もちろん、細菌の栄養になる食べカスを取ることにも意味はあリますが、最も大切な目的が細菌の除去なら、歯磨きよりも大切なことがある。

それはフロスと歯間ブラシで歯と歯の間や歯周ポケットを掃除すること。歯ブラシで歯をゴシゴシやるだけでは、この部分の3割程度しかきれいにならないと言われています。

『食後すぐの歯磨き』は正しいのか?

上述したように、「食後すぐに歯磨きしてはいけない」という情報は、全ての人に正しいという訳ではありません。

『食後すぐの歯磨きで、歯の表面が傷ついてしまう』ということについては、近い内容の論文があるのも確かで、この情報から出回った歯磨きの新常識なのかもしれません。しかし、この論文は『炭酸飲料に象牙質の破片をつけると、象牙質が弱くなる』ということを示しているもので、実際に人間の口の中は、この実験とは全く異なる条件となるのです。

人間の歯の象牙質は、その周辺を象牙質よりもはるかに頑丈なエナメル質に保護されています。また、普段口にするものが、炭酸飲料のように酸性のものばかりではないでしょう。このことを考慮すれば、食後すぐに歯磨きして、歯を傷つけてしまうリスクはそこまで高いとは言えないのです。

つまり、歯が健康な状態にある人であれば、食後歯磨きをせず放置することによって、虫歯の元となる歯垢が歯に付着してしまうリスクを考えると、すぐに歯磨きをした方が良いと言えるのです。

例外もあります

「食後すぐに歯磨きしてはダメ」という情報が全ての人に正しいわけではないとわかっていただけましたか。

ただし注意が必要なのは、「酸蝕症(さんしょくしょう)」にかかっている人であれば、食後すぐに歯磨きしない方が良いかもしれないということです。

「酸蝕症」とは、食生活などが原因となり、歯を保護しているエナメル質が溶け出してしまう病気で、この場合に関しては、食後すぐの歯磨きを長期間続けた場合、歯磨きによって歯がすり減ってしまう可能性もあります。

したがって、酸蝕症になっている人or酸蝕症が疑わしい人は、食後30分~1時間程度時間を空けてから、お口の中が中和された状態で歯磨きすると良いでしょう。
ただし、酸蝕症は、虫歯のように自覚症状がありませんので、自分で気づくことは難しい病気です。

したがって、自分勝手に「酸蝕症かもしれない…」などと考えて、歯磨きを遅らせてしまうと、逆に虫歯のリスクを高めてしまう可能性があります。

自分に最適な歯磨きのタイミングを知りたい場合には、きちんと歯医者さんに行って歯の状態を確認してもらい、アドバイスを受けるのがオススメです。

まとめ

今回は、最近、歯磨きの新常識として見かけることが多くなってきた「食後すぐに歯磨きすると歯の表面が傷つく!」という話について、この情報は本当に正しいのかということを、歯医者の視点からご紹介してきました。

本稿でもご紹介したように、歯が健康な状態の人であれば、食後すぐに歯磨きすることで、口の中の汚れを落とし、虫歯菌や歯周病菌が繁殖しにくい環境をつくることできるということの方がはるかに大きなメリットがあると言えるでしょう。ただし、「酸蝕症(さんしょくしょう)」の人などに関して言えば、酸化した状態から通常のお口の状態に戻る、食後30分から1時間程度時間を空けて歯磨きすると安心かもしれません。

しかし、歯磨きに関して考えた場合、「どのタイミングでするのか?」ということを必要以上に神経質になる必要はないと思います。食後時間を空けてしまうと、歯磨き自体を忘れてしまうことも多くなってしまいますので、そういった事を考慮した場合「食後すぐに歯磨きをする!」ということを習慣づける方がいいかもしれませんね。
なお、自分が酸蝕症になっているか気になる方は、自覚症状などが現れませんので、歯医者さんに行って調べてもらうようにしましょう。

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